2022年9月14日、東京オリンピック・パラリンピックにおいて贈賄容疑で「KADOKAWA」の会長・角川歴彦(かどかわつぐひこ)氏が逮捕されました。
角川歴彦氏は、現在、株式会社KADOKAWAの取締役会長を務めていますが、
KADOKAWAの前身である「角川書店」の経営を巡って、兄の角川春樹氏と骨肉の争いを繰り広げていました。
角川春樹氏と角川歴彦氏は昔から兄弟仲が悪かったようですが、どのような関係だったのか調査しました。
角川春樹と角川歴彦は実の兄弟
角川春樹氏と角川歴彦氏は、「角川書店」の創立者角川源義(かどかわげんよし)氏を父に持つ実の兄弟です。
Wikipediaを見ると、二人は「異母兄弟という説あり」という記載があったので、調べてみたところ、
角川春樹氏と角川歴彦氏は異母兄弟ではありませんでした。
二人の母は、父・源義氏の一人目の妻・冨美子氏です。
源義氏と冨美子氏の間には三人の子どもがいます。
- 長女:辺見じゅん(本名:清水真弓)
- 長男:角川春樹
- 次男:角川歴彦
源義氏の後妻との間に子どもがいて、春樹氏と歴彦氏には異母兄弟にあたるため、この二人も異母兄弟である推測されたようです。
源義氏と冨美子氏が離婚する際、冨美子氏が次男の歴彦氏だけを引き取ることでお互い合意したようですが、源義氏との最後の別れのときに、源義氏が歴彦氏を抱いて逃げ、結局兄弟三人ともを源義氏が引き取る形になりました。
当初は冨美子氏が歴彦氏を引き取ることになっていたので、実の母子関係であったと考えられます。
源義氏は冨美子氏と離婚後、後妻照子氏との間に二人の子どもがいました。
この二人の子どもが、春樹氏、歴彦氏の異母兄弟にあたりますが、二人は不遇の死を遂げています。
春樹氏、歴彦氏の姉である辺見じゅんさんは、2011年に亡くなられていますが、歌人・作家として活躍されました。代表作として『男たちの大和』があり、のちに角川春樹氏が映画化し、2005年の邦画興行収入1位を記録する大ヒットとなりました。
角川春樹と角川歴彦の兄弟仲は悪かった?
角川春樹氏と角川歴彦氏は、父・源義氏が創業した『角川書店』の経営を巡り、骨肉の争いを繰り広げるほど、兄弟仲が悪かったようです。
時系列をまとめると、
1956年 春樹氏入社
1966年 歴彦氏入社
1975年 父・源義氏が死去・春樹氏が社長に就任
1992年 歴彦氏が副社長に就任・春樹氏が歴彦氏を解任
1993年 春樹氏がコカイン密輸容疑で逮捕、社長を辞任・歴彦氏が復帰し、社長就任
春樹氏は、小説と映画を同時に売り出し、『犬神家の一族』などの映画を大ヒットさせました。
ただ、映画製作費や宣伝費をかけすぎたことで、映画事業は破綻していきます。
一方、歴彦氏は『ザテレビジョン』や『東京ウォーカー』などの雑誌を手掛け、角川書店の収益を支えていました。
歴彦氏は兄・春樹氏の経営方法に苦言を呈したことで、歴彦氏に会社を乗っ取られるのではないかと危機感を覚え、急遽春樹氏の長男・太郎氏を後継者として角川書店に入社させました。
このことで兄弟仲はさらに悪化し、春樹氏は副社長である歴彦氏を解任しています。
このときの春樹氏の言い分としては、
弟の歴彦が自分を追い出そうとしたから先に弟を追い出した。
角川春樹『わが闘争―不良青年は世界を目指す』より
だそうです。
歴彦氏は人望があったようで、当時の部下も一斉に角川書店を去っています。
その直後、春樹氏はコカイン密輸容疑などで逮捕され、歴彦氏が角川書店へ戻り、社長に就任しています。
こう見ると、春樹氏のワンマン経営により一時は破綻しかけていましたが、歴彦氏の復帰により、角川書店は立て直すことができたようです。
父が創業した会社を受け継ぎ、ライバルとして切磋琢磨し、会社を盛り上げてきた春樹氏・歴彦氏でしたが、兄弟仲良くとは行かなかったようですね。
春樹氏の逮捕により歴彦氏が「角川書店」を引き継いできましたが、今回歴彦氏の逮捕により「KADOKAWA」に泥を塗ることになったとは皮肉なことですね。
まとめ
今回は、東京オリ・パラでの贈賄容疑で逮捕された角川歴彦氏について、
- 兄の角川春樹氏とは実の兄弟
- 兄の角川春樹氏とは不仲!
をお伝えしました。
約30年前に「角川お家騒動」として、兄弟不仲や春樹氏の逮捕でワイドショーをにぎわせていた角川家。
改めて角川家の奥深さを感じる事件です。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。